
こんにちは。
皆さんは今の日本にある業界がどれくらいあるかご存知ですか?
今世の中にある様々な仕事があり、それぞれ業界に別れています。
金融業界、IT業界、自動車業界、エンタメ業界と数多くあります。
今回はその中でも「建設業界」に注目して、建設業界が今後どのように推移していくのか解説していきます。
僕自身本業が建設業界で、非常に魅力のある業界だと確信しています。
建設業界に属して約8年になりました。
この間に良いことも悪いことも、紆余曲折色々ありすぎました。笑
今振り返ってみると良い思い出になってます。
建設業界がさらに発展していくために、より多くの人に魅力と課題を正直に伝えられればと思います。
1. 建設業界全体の現状と市場予測 📈

まずは建設業界の現状と今後の市場予測を解説していきます。
建設業界は施設や工場など、建物を作り出す仕事です。
そのため、生活にはなくてはならない業界なのです。
一昔前までは、【鳶】と呼ばれる職人は花形の仕事であり、非常に多くの若者が目指すような仕事でした。
そんな建設業界の現状と市場予測について解説していきます。
市場規模と成長率
日本の建設市場は、2025年に約32.4兆円に成長し、2029年には約38.8兆円にまで拡大する見通しです。
年平均成長率(CAGR)は4.4 %と予測されています。
これには首都圏を中心としたインフラ更新、リノベーション、社会災害対策など多様な需要が含まれています。
例えば、震災からの復興需要や、現在開催されている大阪万博などの公共事業の増加が挙げられます。
また、建設業界向けSaaSやシステム、ソフトウェアの需要が増加しており、建設業界でもIT化が進んでいるのも成長率の後押しの一つの要因です。
生産性と構造的課題
一方で、建設業は他の国内産業と比較して生産性の伸びが緩やかです。
労働力不足や現場の高齢化がその要因であり、業界全体のボトルネックとなっています。
下記では建設業界が直面している、高齢化という最大の問題を解説していきます。
2. 高齢化の現状:業界が直面する「2025年問題」

日本の現状として、出生率が低くなり若者が少なくなってきています。
そのため、どの業界でも人手不足は避けられない問題となっています。
その中でも、建設業界ではより顕著に現れています。
新卒や中速・高卒で入社する人が少なくなり、60代70代でも現役で働くような業界です。
2.1 世代構成の数字で見る実態
現在建設労働者のうち、55歳以上が約36 %、60歳以上が約25 %を占めています。
一方若年層(29歳以下)はわずか11〜12 %と、世代間のバランスが著しく偏っています。
この傾向は20年間にわたり進行しており、構造的な「熟練高齢者依存状態」が続いています。
大卒の新卒には敬遠され、高卒や中卒の方が減ってきているのが原因です。
大学進学者は高校生の約半数になっているため、高校を卒業して働く人が減ってきているのです。
2.2 2025年問題とは
団塊世代(1947〜49年生まれ)が2025年に75歳を迎えることで、75歳以上が国民の約18〜20 %に達し、65歳以上が国民の3分の1という「超高齢社会」がピークを迎えます 。
建設業界では特に「現役世代=熟練世代」が退職するとともに、若年層の補充が間に合わない深刻な人手不足が予想されます。
また企業の今後の担い手である40代の割合が少ないため、今後も人手不足が加速すると思われます。
2.3 影響の深刻さ
人口構造の変化により、建設業就業者数は1997年の685万人から2020年の492万人へと約200万人減少しています。
熟練者が大量に引退すると、技能継承の空白が発生し、技術の断絶や品質低下、施工ミスや事故のリスクの増加につながる懸念があります。
また、作業員が減ることによって予定通りに進まない工事が増加していきます。
特に人数が多く必要な大型プロジェクトでは遅れが顕著です。
3. 高齢化による課題とその影響

建設業界の最大の課題が高齢化ですね。
若者が入らない、そうすると高齢者でも現役として働いて頂かないと職人が
誰もいなくなってしまいます。
そんな高齢者に対する課題と影響を解説します。
3.1 現場で求められる負担と健康リスク
高齢の作業員にとって、重作業や不規則な勤務形態は身体への負担が大きく、労災リスクも高まります。
特に労働環境で言えば、夏は酷暑、冬は極寒と体力的な負担が大きい仕事です。
外での仕事なので、熱中症のリスクが高く、夏場はどの企業でも熱中症の対策に追われます。
労働強度が変わらず賃金が下がるケースもあり、定年後再雇用で「給与激減」「やりがい減少」を招き、結果として早期離職を加速させる要因にもなっています。
労働強度が変わらない、というと、今までと同じ仕事内容、仕事量のことを指します。
皆さんも、同じ仕事をしているのに給料を下げられたらやる気無くしませんか?
少なくとも僕は確実に無くしてしまいます。笑
定年後再雇用の場合も賃金を変えないことが求められます。
3.2 若者が「来ない」「続かない」構造
若手が少ない背景には、労働環境の過酷さ、給与水準、キャリアパスの不透明さなどが挙げられ、入職の敷居が高く、離職率も上昇傾向にあります。
年功序列の制度が今なお根強く残っており、昇進のペースは遅いです。
若くして課長や部長まで昇進できる人はほぼいないと言っていいでしょう。
もちろん企業によっては早くから管理職のポジションに就けることはあります。
また、技能・経験の蓄積が必要な建設業では、短期的利益を求める若者にとって魅力が乏しくなっています。
4. 業界が講じている対応策とテクノロジー活用

高齢化が進み、労働力が低下してきている建設業界では、その不足の労働力を補うためにIT化が進んでいます。
というより、今後を考えていくならばIT化は必須でしょう。
一人一人の負担を減らし、同じ労働力でも効率良く働くことができれば、高齢化が進んでも大丈夫でしょう。
とはいえ、高齢の方にITを使いこなすようしっかり教育する手間はありますが、、、
4.1 高齢者の再活用と働き方の多様化
再雇用制度や定年延長により、高齢者が働き続けやすい職場を目指しています。
60歳で定年を迎えたとしても、1年更新で再雇用をしてもらえれば、企業にとっても労働人口が減ることがありません。
労働者にとっても、定年後新しく働き口を見つける手間も、新しく仕事を覚える手間もなくそのまま働けるのはメリットになります。
作業内容や勤務時間、賃金形態も柔軟化され、余力のある範囲での貢献が可能に。
もちろん高齢になれば体力も落ちますし、作業効率が悪くなります。
その分勤務時間を短くしたり、重労働は若者に任せたりと、柔軟に対応すれば問題ありませんね。
4.2 海外人材の受け入れ強化
技能実習生制度の見直しにより、日本語学習やスキル訓練を重視しながら5年滞在・永住ルートへ延長する方針があります。
労務の穴を埋めつつ、長期的には技能定着や日本国内における安定就業を促す狙いがあります。
少子化はすぐに解決できる問題ではありません。
そのため、外国人を受け入れることによって人材を確保することができます。
しかし、昨今の外国人問題にも目を向けなければなりません。
違法移民や外国人不法ビザなど、昔に比べると不法滞在の外国人が増えています。
こういった不法滞在者を確保してしまうと、企業としての信用もなくなりますし、なにより問題なく働いてくれるのかも不安です。
4.3 DX・ロボット導入と人手不足解消
重機の遠隔・自動運転化(例:Komatsuの遠隔操縦システム)は、高齢者や未経験者でも扱いやすくし、荷下ろし~積込までの一連作業を効率化 。
ロボット作業(鉄筋加工、レンガ積みなど)を導入し、熟練者に依存しない作業体系を整備中 。複数人・複数台で動く協働型ロボット(HRC)の可能性も指摘されています。
4.4 デジタル技術と「Society 5.0」の推進
ICT・AI・IoTの活用により、現場の進捗管理、安全監視、点検記録、材料管理などの効率化が進行中です 。
国が進める「Society 5.0」政策とも連携し、若者や高齢者の知識・経験をデータ・ノウハウの形で蓄積・継承しやすくする仕組みづくりが加速しています。
5. 今後の展望:潜在力と重点領域

建設業界の今後の展望としては、上記でも挙げたIT化の進行と労働力の多様化です。
IT化が進めば、一人一人の労働力が上がります。
また、労働力の多様化は、高齢者の再雇用や外国人労働者、ロボット等を指します。
5.1 インフラ更新とリノベーション需要
少子高齢化により新築戸数は減少傾向にある一方で、インフラの老朽化や耐震改修、リノベーション市場は今後数十年にわたり拡大が見込まれています 。
5.2 技術移転と教育体制の整備
技能・技術の継承が急務であり、それには教育・研修制度の整備が不可欠です。
ICT活用と人手を掛けたOJTを組み合わせ、習熟速度の向上と早期独り立ち支援が鍵になります。
5.3 労働力構成の多様化
国内高齢者の再就業、外国人労働者の増、ロボット・AIの共助—三本柱で今後の人手を補完する構図です。
特に外国人労働者には言語教育や生活支援など、カウンセリングや権利保護の面で支援体制の強化が求められます。
6. 結論:高齢化×改革=「新たな成長機会」

高齢化はリスクであると同時に、新たな成長戦略の起点にもなっています。
労働力的には危機的状況ですが、それが業界構造変革の契機ともなり得るのです。
- 高齢労働者の経験と技能を丁寧に引き継ぐことができれば、品質と安全性は維持されます。
- デジタルやロボット技術を導入し、人手不足を機械で補うことで、生産性も向上します。
- 外国人や女性、高齢者の多様な人材が共存できる職場づくりが進めば、業界としての持続可能性も高まります。
先述のとおり市場規模は拡大予測があり、この牽引役となるのは、まさに「高齢化をマイナスでなくプラスに変える仕組み」なのです。
最後に

建設業界は高齢化という大きな構造変化に直面していますが、これを業界再編・技術革新・多様人材活用の推進機会として捉えることで、未来を切り拓ける余地があります。
今後10年、業界全体の変革速度と質が問われる中で、いかに安全・効率・継続性を確保できるかが、社会インフラの土台を支える鍵となるでしょう。
少子高齢化はもはや今後を考える上で必ず話題にあがりますし、今すぐに解決できる問題ではありません。
そのため、今の労働力でより効率的に、かつ柔軟な対応が求められます。
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