僕は2回転職を行い、現在建設業界で働いています。
昔は身体ひとつで手に職をつける若者が多かった業界です。
建設業界に入る前のイメージとして、荒くれ者が多いのと労働環境が悪いというものでした。
実際に働いてみて、建設業界が若者離れが進むのもわかることに気付きました。
その理由を解説していきます。
現在この若者離れが深刻になっており、国も政策を進めているところです。
上記の表からもわかる通り、新卒3年目以内の離職率は他の産業と比べても高く、特に高卒者の離職率は48.5%という数字になっています。
若年層はこれからの企業を支える大切な労働力であり、しっかりと確保する必要があります。
少子高齢化が進んでおりどんどん労働人口が減っている中で、これだけ高い離職率では若者離れが進んでいると言っても過言ではありません。
下記では若者離れの原因と考えられる理由を解説していきます。
建設業界が衰退しないためには、原因を解消していく他ないでしょう。
労働環境が悪い
昔と労働環境がほとんど変わっていません。
他の業界では働き方改革によって、どんどん労働者が働きやすくなってきています。
その中で建設業界はまだ時代の波に乗れていないように思えます。
下記の4つの大きな理由になります。
3kのイメージ
3kとは、
- きつい
- 汚い
- 危険
のことを指します。
このイメージは多くの人が持っていると思います。
僕もこのイメージは入社する前から持っていました。
実際働いてみると、これはイメージ通りだと感じました。
まずきついです。
下記の理由に詳しく記載しますが、本当にきついです。
そして汚いのも事実です。
作業着で埃まみれ、油まみれになるのはよくあります。
最近の若者は綺麗でオシャレな仕事をすることを好む人が多くなっています。
そんな若者にスーツではなく作業着で働けるかというと難しいでしょう。
また、現場での作業は常に危険と隣り合わせです。
近年は労災に関して厳しくなり、怪我や災害を起こさないように対策をしていますが、それでも毎年死傷者は多く出ています。
一歩間違えれば怪我では済まない危険もあります。
休日が少ない
休日出勤は当たり前です。
これは建設業界では当然のことです。
土日祝はないもの、長期休暇も取りにくいのがこの業界です。
工場で働く場合は、工場はしっかり土日で休めるところが比較的多いです。
しかし新築現場など、大手ゼネコンが監督しているような大きい現場では、納期があるので工期の終盤では休日出勤は多くなります。
平日に振替で休むことが多く、現場で働く人は休日は土日ではなく平日だと思っていた方が良いです。
長時間労働が多い
定時上がりは非常に稀です。
特に大手になればなるほど、多くの作業員の仕事が終わった後、明日の段取りも行う必要もあります。
終電で帰ることも珍しくなく、夜間出勤もよくあります。
9〜17時で定時内で残業がほとんどないような働き方をしたい人は全く合わない業界です。
始まりは8時、終わりが17時になっている現場が多く、そこから帰って明日の準備をしていると外は真っ暗です。
現場で作業をしていれば良いわけではなく、会社に帰ってからの作業があるので就業時間が長くなります。
朝も、一度会社に行ってから会社だと家を出る時間もかなり早いです。
給料が低い
給料が良いイメージを持つ人がいるかもしれませんが、時給換算するとかなり低くなります。
36協定が適用されない業界ということもあり、残業が青天井であることも懸念点になります。
最近では少しずつ残業代を支払う会社も増えて来てはいますが、それでもまだまだ少ないというのが現状です。
サービス残業も多く、働きまくったからといって収入も青天井というわけにはいきません。
職人では1現場辺りでの日給月給制を取っている会社もあり、早く終われば終わるほど時給が良くなります。
ゼネコンやサブコンなんかは通常の会社員と変わらないので、残業時間や残業代の支給が会社によって左右されてしまいます。
新卒で就職する人が減っている
上記のような理由により、そもそも新卒で就職しようという学生がどんどん減っています。
建設業界に参入する人は毎年減っており、今では29歳までの若年層が約1割程度しか在籍していません。
全産業の平均では16.4%に対し、建設業は11.4%という低い数字になってしまっています。
少子高齢化が顕著に表れているのが建設業界です。
建設業界がもっと若年層を確保するためには、新卒で希望する学生をもっと確保するように動いていく必要があります。
離職率が高い
離職率が非常に高いのも若者離れの原因の一つです。
体力的な面で辛くなることが他の業界に比べて多く、続かないのが要因です。
公園で遊ぶことが禁止されてきて、外で活発に遊ぶような子供が減ってきているので、基礎体力が落ちていることも関わっています。
60歳70歳までと長い年月働いていく将来を考えると、建設業界に身を置き続けることが難しいと考える人は少なくありません。
そういった方たちは、転職するなら20代30代の若いうちに行ってしまうので、若年層が定着しないということになります。
教育方法が昔と変わっていない
少し乱暴な言い方をすると、「昭和気質が未だに根強く残っている」業界です。
昔は見て覚える教育方法で、先輩や上司が行っている作業を見て学ぶことが基本でした。
オラオラな感じの職人も多く、気が強い人が多い傾向でした。
ですが現在令和になり、そのような教育方法では上手くいきません。
パワハラやモラハラ、セクハラなどハラスメント問題が大きくなり、昔のやり方では若者はついてこないのです。
丁寧に手順を説明し、寄り添う教育方法に変えていかなければなりません。
20代と60代では全く考え方や捉え方が違うことを意識する必要があります。
建設業界が若者を確保するためには
建設業界が若年層の確保に悩んでいますが、建設業は生活を送る上でなくてはならない業界です。
このままでは建設業で働く人がいなくなり、建物を建てたり直したりすることができなくなってしまいます。
これを避けるためには、建設業界のあり方を変えていく必要があります。
・イメージを変えていく
・労働環境を良くする
これらは今すぐにでも手を付けて改善していかなくてはなりません。
イメージを変えていく
建設業界に好印象を持つ人が減っているのが労働人口の減少も大きな要因です。
上記でも解説した理由は、多くの学生が持っているイメージです。
しかもほとんどの企業がそのイメージ通りであるため、そもそも応募すらしないというのが現状なのです。
まず応募をしてもらわないと採用できないので、業界や企業のイメージを変えていく必要があります。
自社の強みや特徴、魅力など、様々な面のイメージを変えていきましょう。
ただ、これは一企業だけが行っても意味がありません。
建設業界の企業が力を合わせて変えていく必要があります。
労働環境を良くする
国が進めている36協定と週休二日制の導入です。
今まで建設業界は36協定の適用外であり、残業も青天井でした。
しかし、これの適用業界となることによって残業時間の上限が決められます。
労働時間が長く、時給換算にすると薄給であることも若者離れの原因の一つです。
これを改善することによって、労働人口の確保を目指します。
ただ、この36協定の適用は賛否両論あります。
特に週休二日制は無理ではないかという声も。
たとえ難しくても、若者を確保するためには導入せざるを得ません。
企業が人材を確保し、一人一人の労働時間を減らせばより働きやすい環境になっていきます。
建設業界のイメージを変えていく
建設業界は他の業界に比べて離職率が高く、若年層が定着しにくい業界です。
未だにパワハラがある会社も多く、耐性がない若者には耐えることができません。
そうしてせっかく入社した若者が離職してしまい、企業や業界の衰退につながってしまいます。
まずは「今どきの若者は根性がない」と切ってしまうのではなく、寄り添う教育方法をしていきましょう。
これからの建設業界を引っ張っていくのは若者です。
若者を尊重し、大切に育てていくようにしましょう。
逆に若者は、これからの建設業界は大きく変化していきます。
今までのイメージとは大きく異なるでしょう。
まずはインターンシップで業界に触れ、企業のことも知っていくことをおすすめします。
インターンシップとは何かわからない人向けに、インターンシップについて解説した記事を置いておきます。
正直若手の重要性に気づいていない高齢者は多いです。
「自分が若いころはもっと大変だった」という言葉がありますが、若者には全く響きません。
それよりももっと丁寧にわかりやすく教えたり、注意や説教の仕方を変えるよう経験年数が長い人が変わっていくべきです。
これからの日本を支えるのは、若者だ。
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